この陶硯にはよく見ると菊の真ん中に穴が開いていてそこから水を入れて本体を傾けると、硯の海側から水が出てくるような仕組みになっています。
桃山時代のこうした造りは外側からいくら眺めてもどのような仕組みなのか分かりません。
　美濃での修業時、数限りない桃山の陶片を資料にして厚みやら仕組みらや、外側からではわからない事柄を多々知ることが出来ました。
中には今では美術館に入っているような桃山時代の茶碗や向付などを横に置いて、何度も何度も繰り返し写しを造りました。
　そうして会得した技術からこの作品は生まれました。